皮脂欠乏性および皮脂欠乏性湿疹について

これから寒い時期に突入し、肌の乾燥で悩む方が増える時期になりました。

今回は、皮脂欠乏性および皮脂欠乏性湿疹についてご紹介します。冬になると、皮膚科を受診される方の多い疾患の一つといっても過言ではありません。

皮膚は、表皮、真皮、脂肪組織の三つで構成されています。ミルフィーユのように、いくつもの層から成り立っていると考えると分かりやすいかもしれません。さらに、その表皮も複数の被膜から形成されて、私たちの肌を外界から保護しています。最下層から、基底層、有棘層、顆粒層、角質層の順番で成り立っています。皮脂欠乏症は、加齢や乾燥などによって、人体の最も外側にある細胞である角質の水分量が低下することによって生じます。さらに、掻痒を伴う丘疹や紅斑が生じることで、皮脂欠乏性湿疹へと進行してしまいます。今回は、皮脂欠乏症になった場合はどうすればよいのか、具体的な対処法を3つご紹介します。

1つ目は、スキンケアの工夫です。たとえば、入浴時にはタオルで強く擦るなどの肌への刺激になるような洗い方は避け、石鹸をよく泡立てて洗うといったことが挙げられます。また、日常生活の中でできる限りの工夫をすることも大切です。お湯は肌の油分を必要以上に流してしまうため手を洗う際は水で洗う、炊事で洗剤を使用する場合はゴム手袋を使用するなど、手指への刺激を減らすように心がけましょう。また、海外では肌の乾燥を予防するために、紫外線を避けることが有効という報告もあるそうです。外出時には日傘を使用する、日焼け止めを塗布して紫外線を浴びないようにすることも一つの方法といえますね。

2つ目は、保湿剤を塗布することです。ひとくちに保湿剤といっても、ローションや軟膏、スプレータイプなど複数の基剤があります。使用感や季節などに応じて使い分けをすることも一つの方法です。夏には使用感の良いローションを、乾燥しやすい冬場にはクリームタイプのものと使い分けるのも良いでしょう。また、お子さんには塗りやすいスプレーを使用するなど、ご自身で使いやすいものを選ぶと使用時の負担が減るかもしれません。ヘパリン類似物質が含有されている保湿剤は、保湿だけではなく肌の血行を良くする効果があります。処方薬には、この物質が含まれているものが多くみられます。

保湿剤を塗布するタイミングですが、入浴後が最も効果的です。特に、入浴後5分以内は肌のゴールデンタイムと呼ばれ、保湿剤が最も肌へ浸透しやすい時間と言われています。多少水分が残っている状態でも構わないので、保湿剤は入浴後すぐに塗布しましょう。

最後になりますが、保湿剤で改善がみられない場合には、ステロイド剤外用薬の塗布を検討します。ステロイドと聞くと副作用を懸念される方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、ステロイド剤は炎症を抑える効果が強いため湿疹に対しては頻繁に用いられる薬剤です。強さに応じていくつかのランクがあり、お子さんや顔面など皮膚が薄い部位には弱めのステロイドを使用します。逆に、足底や手など皮膚が厚く浸透しにくい部位には、中程度以上のステロイド剤を用いることが多くみられます。

ステロイド剤ですが、長期間にわたり漫然と使用することは望ましくないとされています。皮疹に塗布し、改善後は使用を中止することが必要です。ただし、職業柄一日頻回の手洗いを必要とする方は、寛解までに長い時間を要することが多くなります。皮膚科医と相談の上、経過観察を通して治療方法についてよく相談することが大切です。皮脂欠乏症により肌のバランスが崩れると、アトピー性皮膚炎の増強など他の皮膚トラブルを招くことになりかねません。敏感肌や乾燥肌でお悩みの方は、スキンケアの方法等について皮膚科医に尋ねてみることもいいでしょう。

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あいおいクリニック皮膚科 アトレ目黒駅

日付:   カテゴリ:アトピー性皮膚炎, 皮膚科