性感染症

性感染症(STD)は、性行為などによって感染する病気のことです。一昔前までは性病と呼ばれていましたが、現在は性感染症やSTD(「Sexually Transmitted Diseases」の頭文字)またはSTI(「Sexually Transmitted Infections」の頭文字)と呼ばれています。STD(性病・性感染症)は、感染している人との性行為により、病原菌を含む精液、腟分泌液、血液などが、口や性器の粘膜、皮膚などに接触することで感染がおこります。そのため、日常生活や単なる接触で感染することはありません。代表的な疾患としてはHIV(エイズ)、クラミジア、 カンジダ、淋病、 尖圭コンジローマなどがありますので、順に紹介したいと思います。

〇HIV(AIDS)
HIVとは病気そのものの名前ではなく、ウイルスの名前です。 正確には、ヒト免疫不全ウイルスといいます。このウイルスが体の中に入ると、ヒトの免疫として働く細胞に感染します。 この感染された細胞が増えていくと、次第にその人の免疫力、つまり風邪などの病気に抵抗する力が落ちてきます。 その結果、健康な人だとかかりにくいような様々な病気に感染してしまうようになります。 この状態をエイズに罹患した状態と指します。

〇クラミジア
クラミジア感染症の原因は、クラミジアトラコマティスという細菌です。女性の場合、クラミジアに感染するとおりものの量が増えます。しかし、他に自覚症状があらわれにくいので 自分が感染していることに気付かないことが多くあります。治療せずに放置しておくと、体の内部にまで感染が広がり子宮内膜炎や卵管炎、不妊の原因となる事もあります。 また、流産、早産の原因にもなるため、注意が必要です。
男性の場合は、クラミジアに感染すると排尿痛が生じます。治療せずに放置しておくと尿道を経由して感染が広がり、前立腺炎、腎炎などになることがあります。

〇カンジダ
カンジダはもとから人の体内に存在している菌です。これらが原因となって膣内部などのさまざまな部位にかゆみなどをおこします。女性の場合は、カンジダに罹患すると性器周辺部や外陰部にかゆみや炎症がでます。 膣の中で炎症を起こしている場合にはヨーグルト状のおりものの量が増えることがあり、性交時に痛みを感じることがあります。男性の場合は症状がでることは少ないのですが、亀頭や陰茎にかゆみや炎症がおきることがあります。

〇淋病
淋病は淋菌が原因となって発症する性感染症です。女性の場合は、膣から子宮あたりに炎症をおこします。症状としては、おりもののの増加や悪臭などの変化がありますが、 約80%の女性には自覚症状がないといわれています。 感染を放置しておくと体内に感染が拡大し、子宮外妊娠や不妊の原因となります。妊娠中に感染していると赤ちゃんは出産時に淋菌に感染します。 この場合、早期に治療をしないと失明するおそれがあります。男性の場合は尿道に感染することが多く、激しい排尿痛や排尿時の膿がでます。 しかし自覚症状がない場合もあります。治療をせずに放置していると、菌が広がり体内の生殖器の炎症をおこします。場合によっては無精子症になることもあります。

〇尖圭コンジローマ
コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウィルスが原因となる性病です。このヒトパピローマウイルスには良性のものと悪性のものに分類され、 良性のHPVはコンジローマの原因に、悪性のものは子宮頸がんの原因になります。HPVに感染すると、1~2ヶ月ほどの潜伏期間ののちに感染した部位にイボができます。 性器とその周辺、肛門、足の付け根部分などにできることが多いのですが、口唇部に感染した場合には唇や口の中にできることもあります。 このイボは疼痛がない場合が多く、見えない部分にできると発見が遅れることがあります。このイボは一度寛解しても、再燃する可能性があります。

性病の中には症状が出にくいものもあります。しかし、症状が無くても病気は進行し、いつのまにかパートナーにうつしている可能性があります。先に述べた通り、男女とも不妊症の原因になる場合があります。妊婦が感染した場合は、流産や早産の原因になりかねません。そのため、必ず妊婦検診を受けましょう。さらに、性感染症の罹患者はHIV(エイズウイルス)に感染する可能性が通常より3~5倍高くなるといわれています。

 では、検査はどのように実施されているのでしょうか。検査可能な機関は、保健所と病院の大きく2つに分けられます。国の保健所あるいは自治体の施設で性病の検査が行われています。これらの検査は原則無料となっており、検査の際に自分の名前を告げる必要がなく匿名で検査を受けることができます。保健所の検査はHIVなどの社会的に影響のある病気を中心に行われるため、病院などでの検査よりも検査項目が少ない場合があります。検査は主にHIV、梅毒、クラミジア、淋菌の検査が実施されています。検査項目等の詳細は各自治体、保険所で異なりますので、実施を希望される場合はお近くの保健所などへお問い合わせください。 また、全国の病院や診療所でも性病の検査が行われています。 性病に関するなんらかの症状があらわれている場合であれば検査費用に保険を適用できることがありますが、 なにも症状がない場合には自費診療扱いで保険が適用されないこともありますのでご注意下さい。

性病には数多くの種類があり、さらに、罹患していると抵抗力が落ちて細菌やウイルスが侵入しやすくなってしまいます。このように、STIは自覚症状がないまま進行する恐ろしい病気といっても過言ではありません。
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