皮膚腫瘍

みなさんは、皮膚に「できもの」ができたことはありますか。できものは、専門用語で「腫瘍」とよばれます。ひとくちに腫瘍といっても、日常目にする頻度が多いもの、良性のものから悪性のものまで多種多様です。今回は、皮膚科の一次診療で目にする頻度の多い腫瘍をいくつかご紹介したいと思います。

 まずは、脂漏性角化症です。別名を老人性のいぼといい、皮膚の老化現象の一つと考えられています。しかしながら、若年者でも見受けられる病変の一つです。患部は徐々に隆起し、しだいに黒色の皮膚病変が出現します。顔面や胸部などにみられることが多く、まれに疼痛や掻痒を伴う場合もあります。一般的に良性の場合が多いのですが、悪性かどうかの判別を希望する場合は、皮膚科を受診し医師の判断を仰ぐことをお勧めします。主な治療法として、液体窒素による冷凍凝固法が一般的です。病変が大きい場合は、レーザーや電気による切除を実施します。

 二つ目は、粉瘤とよばれる皮膚腫瘍です。別名をアテロームともいいます。外傷などによって上皮の成分が皮膚の内部に混入することで生じると考えられています。患部は徐々に拡大し、全身のどこにでも発症する可能性があります。通常は無症状ですが、進行すると隆起し、患部が開口し内容物が排出されることもあります。炎症が強い場合は、疼痛を伴うこともあります。隆起が軽度の場合は、抗生物質の内服または外用薬を投与します。改善がない場合や、摘除を希望する場合は処置や生検など専門的な検査が実施できる皮膚科や、総合病院等の受診をお勧めします。

 最後にご紹介するのが、肥厚性瘢痕およびケロイドです。外傷等によって生じた創傷が原因となって生じるといわれていますが、詳細は不明です。出現したばかりの肥厚性瘢痕やケロイドは、赤褐色に隆起した硬い腫瘤で、独特の疼痛と掻痒があります。
上肢に好発し、皮膚病変および症状が特徴的です。肥厚性瘢痕とケロイドは類似している点が多く、異なる点といえば、肥厚性瘢痕が数年単位で扁平化するのに対して、ケロイドは徐々に拡大する点といえるでしょう。

もし、肥厚性瘢痕、およびケロイドが生じた場合は、何をすべきでしょうか。まずは、安静にすることが第一です。主な治療法として圧迫療法、ステロイドを用いた保存的療法、また外科的手術による切除療法があります。中でも、ケロイドは再発を起こす可能性が大きいと言われています。しかし近年では、レーザーや電子線の照射など、再発を予防し跡を残さないようにする治療を実施する医療機関もあります。ご興味がおありの方は、最寄りの皮膚科や形成外科などに問い合わせてみるのも良いでしょう。

 皮膚悪性腫瘍に数えられるものは、紫外線と関係が深いといわれており、顔面にできやすい基底細胞がん、びらん、結節、潰瘍などさまざまな症状をとる有棘細胞がん、60歳以上の方に頻発しやすい乳房外パジェット病、そして悪性黒色腫があります。

以上のように、皮膚腫瘍といってもいかに多くの種類があるかお分かりでしょうか。単に黒いできものといっても、ほくろや脂漏性角化症、腫瘍など他の皮膚病変との判別を要する場合もあります。さらには、腫瘍の初期症状は判別が困難なため、本来の疾患とは異なる治療を受けていて改善しない場合もみられます。皮膚のできものがあると、スキンケアなど見た目の問題に影響しQOLが低下するだけではなく、その後の健康にも深く関わってきます。

目黒駅周辺で、皮膚のできものでお悩みの方や、病変の精査や皮膚病変の診断を希望する方は、あいおいクリニック皮膚科アトレ目黒へお越しください。整容的な観点等、患者さん一人一人に合った治療を提供いたします。

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