尋常性乾癬

本稿では、尋常性乾癬についてご紹介したいと思います。乾癬にはいくつかの種類がありますが、全体の9割以上を占めるのがこれからご紹介する尋常性乾癬です。

尋常性乾癬とは、慢性皮膚疾患の一つです。人によって症状や発症する場所が異なり、治療法は多様ですが、典型的な症状として、皮膚の肥厚部位や赤い発疹の上に、フケのようなもの(鱗屑とよばれます)が付着し、落屑が生じる皮膚病変です。国内の患者数は約10万人(1000人に1人)といわれています。患者層としては乳幼児から高齢者まで年齢層は幅広いですが、男性では30代、女性では10代および50代での発症が多いようです。ちなみに、他の人に感染することはありません。

 そんな乾癬の原因ですが、今のところは不明です。もともと乾癬になりやすい体質があり、それに加えてストレス等のさまざまな要因が加わって発症すると考えられています。また、糖尿病や脂質異常症、肥満などの生活習慣病も影響が大きいといわれています。
 それでは、もし乾癬に罹患した場合は、どのような治療法があるのでしょうか。一般的には外用療法から始め、効果が十分でない場合に光線療法、内服療法、生物学的製剤へと進めていきます。個々の治療方法については、皮膚科医とよく相談してください。

〇治療方法について
① ステロイド外用薬
紅斑の治療に効果的で、効果が比較的早く現れます。しかし、長期に漫然と使用することで皮膚萎縮などの副作用を生じる場合もあるため、軽快後は塗布をやめることが必要です。

➁ビタミンD3外用薬
効果が見られるまでに時間がかかるものの、鱗屑や皮膚の腫脹改善に効果的です。決められた量より多く塗るなどの誤った使い方によって、のどの渇き、脱力感、食欲不振などの全身性の副作用が起きることがあるため、医師の指示通りに使用しましょう。

② ステロイドとビタミンD3の配合外用薬 
ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬の効果をあわせ持っており、即効性と十分な効果が期待できます。しかし、両方の副作用に注意する必要があります。症状や効果をみながら、単独あるいは混合で使用したりします。

〇光線療法
外用薬で改善しないとき、または増強した場合に用いられます。光源ランプを用いて、紫外線を照射します。紫外線は波長によって2種類に分けられますが、効果が認められるのは、中波長紫外線(UVB)と長波長紫外線(UVA)です。 近年、一般的になってきたのが、UVBに含まれる有害な波長を取り除き、治療効果が高い波長のみを使う「ナローバンドUVB療法」です。適度に直射日光を浴びることも治療として推奨されていますが、紫外線には皮膚の発がん性なども報告されているため、必要に応じて実施してください。

〇内服療法
皮膚細胞の異常増殖を抑えるレチノイド(ビタミンA誘導体)、免疫反応を抑えるシクロスポリン(免疫抑制剤)などが用いられます。

〇生物学的製剤を用いる方法
これまでの外用薬、内服薬等の治療で効果がみられない場合には、生物学的製剤が用いられます。皮下注射と点滴の2種類があり、病変部位に大量に出ている炎症にかかわる物質を抑制する働きがあります。

〇乾癬に罹患した場合の注意事項
① ストレスを軽減する
仕事や人間関係といったさまざまなストレスは発症・悪化の引き金となります。乾癬そのものに対する不安がストレスとなり、症状を悪化させるという悪循環も起こり得ます。

➁生活習慣を見直す
カロリーの高い食事は乾癬を悪化させるといわれています。肉類や脂質などは控え、栄養バランスの良い食生活を心がけましょう。飲酒や喫煙もできる限り控えましょう。また、睡眠不足や不規則な生活が原因で症状が悪化することもあるため、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。

③ 既往症・合併症の治療
乾癬患者さんには、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、リウマチ性疾患などを患っている(患っていた)人が多い傾向があります。因果関係はわかっていませんが、これらの病気が悪化すると乾癬の症状も悪化することがあるので、あわせて治療していくことが大切です。

いかがでしたか。乾癬は、皮膚疾患のなかでは身近な疾患とはいえないかもしれません。しかし、数年前にタレントが乾癬に罹患していることを公表したことがありました。現在も一定数の患者さんがいらっしゃる疾患です。

乾癬を疑っている方や、皮膚病変について相談したいことがある方は、あいおいクリニック皮膚科アトレ目黒へお越しください。目黒駅直結で、通勤や通学、買い物の際にお立ち寄りいただいても構いません。皮フ科医が真摯に対応いたします。

あいおいクリニック皮膚科 アトレ目黒駅

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